おしい、おしい、できた
おしい、おしい!
みんなが疲れた顔で
家路に向かう夕方の駅、
ひときわ元気な声がした
6歳くらいの、
顔いっぱいにえくぼをうかべた男の子が
駅の天井にさわろうと
何回も何回もジャンプしていた
おしい!おしい!
元気な声の主は
これまた顔いっぱいに
くしゃくしゃのしわを浮かべた
お父さんだ
天井と手までの距離は
男の子の身長の倍くらいある
おしい!おしい!
きっと君が今日天井にさわることは
ないだろう
でもいつかきっとできるよ
君が大きくなることを
ちゃんと知ってるお父さんがいるから